Daily Archives: 2022年2月14日

夫のこと


昨年の2月12日のこと。午後半休を取って夫が入院している病院へ行った。その週は役所に介護保険の申請に行ったり、夫が青森で飲んだ搾りたてのりんごジュースが飲みたいと言っていたので果汁100%のジュースを大量に買っていて「買いすぎだ」というような顔をされていたりした。確かに重たかった。やりすぎた。病院にはコロナ感染者が増えているから来ないでくれと言われていた。そんな中、介護保険申請の調査は区役所の気遣いで病院に許可を得て同席させてもらえることになった。それが2月12日(金)だった。

病院へ行く時は夫に会える嬉しい気持ちがある。行くたびに帰りは泣きながら帰ることが増えてきた。病院に到着し部屋の外で待っていたらドアが空いていた。夫がいたけどなんというか歩くのも大変そうで。しばらく外から見ていた。看護師さんが話しかけてきて夫の体調を説明してくれた。日に日に悪くなっていることは夫を見た瞬間理解した。看護師さんは少し涙目だった。

部屋に入って夫はベッドに横になっていた。夫が「見てビックリしたでしょ?」って。私は「友人に77歳まで生きるよ、って言われたでしょ?」と伝えるのが精一杯だった。

必要な話と持ち帰る荷物の話をした。話すことも不自由なので本当に最低限だ。会社の手続きの話とかしてて「みんないるから大事だからだよ」と。夫は「いつもありがとう」と。

そして車椅子に乗ったのかな。脚も浮腫んでいて洗面器で温めてもらっていた。とにかく辛そうだった。そして「肩揉んで」と言われて揉んだけど多分上手くできなくて途中で止めた。夫が車椅子に座って私が後ろにいてしばらくぼーっとしてた。しばらくすると介護保険の調査員がやってきた。少し話していたら夫が手振りとともに「掛けてください」と立っている調査員の後ろにある椅子に座って下さいと言ったのだ。自分が大変な状況なのにそんな気遣いが出来るのか。驚いた。私なら出来ない、そんなことすら思い付かない。私が言うべきだったのかもしれない。

調査員の質問に答えたり看護師さんが答えたりもしていた。調査が終わってから病院の地域連携室の方と相談、さらに帰りに区役所に必要書類をもらいに行く予定だったので、夫に「じゃあ行ってくるね!また会いに来るからね!」と元気に言った。握手した。部屋に入ってからずっと元気に話さなきゃとふり絞って出した言葉でした。夫は「急がなくていいからね、気を付けてね」と。心配性の夫らしい声かけ。看護師さんからは「奥さんに優しいですね〜(笑)」なんて言われててね。部屋を出た瞬間、私は泣き崩れてしまった。部屋の中で泣かなくて良かった。我慢できた。一緒に付き添ってくれていた看護師さんが優しく声をかけてくれた。そして気を遣って普段使用しない別の通路で案内してくれた。これが夫と話した最期の会話。

ここまで思い出して書いてたんだけどね、通勤中の電車で。人目気にせずぼろ泣きながら思い出して書いたよ。夫は自分がものすごく辛いのに人を気遣える素晴らしい人だったってことです。すごいよ、夫。本当に尊敬している。

同情してほしいとかそういうことではありません。これはあくまでも記録です。この話はまた後日追記したりするかも。

明日は命日。涙が止まらん。娘がとなりで「おかーしゃーん」って寝言言ってる(笑)